篠原班員らの論文がCell Stem Cellに掲載されました
2013.08.12
篠原先生のグループは、精子幹細胞 (精原幹細胞) の長期培養と精細管移植による再構築の系を用いて、あらゆる角度から精原幹細胞の研究を進めておられます。
今回の論文では、小倉先生との共同研究のもと、同システムを用いてROS (活性酸素) が精原幹細胞の増殖に活性酸素が必要であること報告されました。まず活性酸素のスカベンジャーであるαリポ酸などを添加した状況では精原幹細胞の増殖が低下すること見いだし、続いて過酸化水素の添加により高濃度の活性酸素は増殖を阻害するが、適度な活性酸素濃度が増殖を促進することを示しました。また過酸化水素の添加時にはP38やJNKを介した増殖刺激、特にP38のリン酸化は長期の増殖を刺激することが分かりました。さらにNox1のsiRNAやKOマウスを用いて、個体レベルでもROSの重要性を再現確認されています。
今回の知見は、精子形成に悪影響を与えると考えられてきた活性酸素が、むしろ精原幹細胞の増殖には必要であることを示された重要な報告でありますが、活性酸素と男性不妊の関係についても見直されるべきであることを示唆しており意義深いものですね。
(伊川)
(Cell Stem Cell. 2013 Jun 6;12(6):774-86. )
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23746981