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中村班員の論文がNature Communicationsに掲載されました

2015.01.26

今回の中村さんのNature Communications論文はPGC7がiPS細胞のリプログラミングに必要であるというものです。ドイツのグループ(なんと精子幹細胞の多能性でお馴染み?のEngelさんまで入っている)との共同研究です。iPS細胞はノーベル賞ですっかり定着していますが、その生成のメカニズムや品質管理にはまだまだ解けていない謎があります。これまでのHochedlingerらのグループによると、ビタミンCがDlk1-Dio3のメチル化を抑制することで高品質のiPS細胞を作ることができると報告されていました。

今回の論文ではPGC7の過剰発現がビタミンCと同様な効果をもち、PGC7を山中因子と同時に遺伝子導入すると高品質のiPS細胞ができること、またPGC7ノックアウトマウスの細胞からはiPS細胞になる途中でブロックがかかってしまい、Dlk1-Dio3 locusのインプリンティング異常が起こってしまうことが明らかになりました。興味深いことにPGC7はDlk3-Dio3 locusに結合するのみならずDnmt3aに拮抗して働くことも示されています。

PGC7というと、元々は総括班の斎藤先生と仲野先生(この論文の第一著者が中村さん)が奇しくも同時にとった遺伝子であります。そのため別名Stellaともいわれています(詳しくは細胞工学掲載の"PGC7逆襲Stellaウォーズ Episode 2" by 仲野 徹参照)。私の知り合いが同時に同じ遺伝子をとったというので世間(ゲノムも?)は狭いものだと思っていました。遺伝子は誰がとったかという人間のイメージと往々にして重なりやすいですが、今回の仕事はPGC7がiPS細胞の生成にも関与するということで山中先生の細胞ができてくるのに斎藤・仲野遺伝子がないとダメなのかと変に納得してしまいました。しかし、この二人がやんやと出てきたら山中先生も立ち止まるかも知れないような気もしますが。。。。
  (篠原隆司)

(Nat Commun. 2015 Jan 23;6:6008.)
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25613421

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