石井さん(篠原班)のJRD Outstanding Paper Award 2014の受賞が決まりました
2015.07.24
このたび、京都大学・石井さん(篠原班)が、JRD Outstanding Paper Award 2014を受賞されることが決定いたしました。
以下、石井さんからのコメントです。
---------------------------------
このたび、京都大学・石井(篠原班)がThe JRD Outstanding Paper Award 2014を受賞することが決定いたしました。2014年1月にJournal of Reproduction and Development誌から発表された" Cell-cycle-dependent Colonization of Mouse Spermatogonial Stem Cells After Transplantation into Seminiferous Tubules"という論文が受賞致しました。
この論文は、精細管移植後の精子幹細胞が生着するための要因に細胞周期が関わっている可能性を示唆したものです。精子幹細胞は精細管に移植すると、本来の精子幹細胞が存在すべき場所(niche)に移動します(このことをhomingと呼んでいます)。以前の研究では移植した細胞の5~10%しか生着することができないことが知られていましたが、その理由は明らかになっていませんでした。篠原班からは、移植幹細胞におけるclaudinなどtight junctionタンパクの発現がhomingに必要であることをこれまでに報告してきましたが、本論文では細胞周期を蛍光タンパクにて可視化するFucciシステムを利用し、細胞周期の観点から移植細胞の性質と移植効率の関係性に迫ることに致しました。
その結果、G1期にある精子幹細胞は他のフェーズにある細胞よりGFRA1(精子幹細胞のself-renewal因子であるGDNFの受容体を構成しているタンパク)の発現が多く、また移植効率が有意に高いことが示されました。また、tight junction(血管精巣バリア)が完成していない幼若マウスの精巣へ移植した場合には、この細胞周期による移植効率の違いが認められなかったことから、G1期の精子幹細胞は血管精巣バリアの通過効率が良いために他のフェーズにある細胞に比べ移植効率が良いと考えられます。
本論文は篠原班員の多大なるご指導、ご鞭撻を賜り、篠原研究室所属メンバーの心強いお力添えのもと投稿することができました。その結果、このような身に余る光栄な賞を受賞できましたことを、この場ではございますが深く感謝申し上げます。
(石井 慧)
(J Reprod Dev. 2014 Mar 7;60(1):37-46.)
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24256919