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伊川班員の論文が Nature Communicationsに掲載されました

2016.07.25

 大阪大学微生物病研究所の伊川グループの論文がNature Communications誌に掲載されました(発表時期が重なったため、伊川班の宮田が紹介させて頂きます)。東京大学大学院理学系研究科の濡木先生のグループとの共同研究論文です。それぞれKOマウスの作製・解析と結晶構造解析という異なるアプローチを得意とするグループですが、Win-Winの関係で受精現象の一端を明らかにしています。

 精子と卵子の融合に必須な因子として精子上にI型膜貫通タンパク質のIZUMO1、その受容体として卵子上にGPIアンカー型膜タンパク質のJUNOが見つかっています。しかしIZUMO1とJUNOがどのように相互作用するのかは不明のままでした。

 今回は、まず濡木先生のグループが、糖鎖修飾されないように73番目のアスパラギンをアスパラギン酸に置換したN73D変異型JUNOの結晶構造解析に成功しました。JUNOは葉酸受容体に似たアミノ酸配列を有しますが、葉酸とは結合しないことが以前に報告されています。今回の構造解析からもJUNOの葉酸結合ポケットに葉酸は入り込めないことが示されました。さらに、三次元構造の表面に出ているアミノ酸に着目してみると、葉酸結合ポケット付近のアミノ酸(H97, W184)ではなく、ポケットの裏側のアミノ酸(W62, L66)が哺乳類でよく保存されており、結合に重要だと考えられました。

 次に、伊川グループが、CRISPR/Cas9システムを用いてJunoのKOマウスを作製し、KO卵子が精子融合能力を持たないことを確認しました。このKO卵子にJUNOをコードするmRNAをインジェクションしたところ、野生型およびN73D, H97A, W184A, L66Aの変異型JUNOでは卵子の受精能力が回復したのに対し、W62A変異型JUNOでは回復しませんでした。よって葉酸結合ポケットの裏側にある62番目のトリプトファンが受精能力に必須であると結論づけています。同時期にヒトIZUMO1-JUNO複合体の結晶構造解析論文がNatureにback to backで報告されましたが、in vitroのアッセイと構造解析から、同様の結論に至っています。

 ところで今回の研究でも、従来の報告と同じように、JUNOを発現させたHEK293T細胞は精子と結合するものの融合しませんでした。やはりJUNOはIZUMO1受容体として働くが、融合因子そのものではないようです。精子と卵子の融合機構はまだ不明な点が多く、本論文の構造解析結果やレスキュー手法を用いることによって、さらなるメカニズムの解明が期待されます。
  (伊川班・宮田治彦)

(Nat Commun. 2016 Jul 15;7:12198.)
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27416963

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